05087-180331 海外の大学における日本語法律論文指導システムに関するご相談にScrapboxを提案
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名古屋大学がアジア各国の大学(7カ国8大学)で設立、運営している「日本法教育研究センター(CJL)」。法整備支援の一環として、現地の法学部生たちが日本語と日本法を学び、4年生の「卒論」に該当する「学年論文」(約2万字)を日本語で執筆します。 ウズベキスタン
モンゴル
ベトナム(ハノイ)
ベトナム(ホーチミン)
カンボジア
ミャンマー
インドネシア
ラオス
shio.iconもいままでにハノイとカンボジアを訪れたり、夏期セミナーで学生たちが日本を訪れた際に指導をしました。日本人学生の論文指導より豊かな想像力を要します。shio.iconは単発で指導するばかりですが、日々現地で指導にあたっている先生方のご尽力は計り知れない。日本人の学生が大学で初めて習うフランス語や中国語といった初習外国語で、その国の法律に関してその言語で論文を書くことを考え方たら、その指導の難しさが推測できます。
文章の日本語を細かくチェックして、言いたいことはなんなのか推し量り、それを日本語の文言として引き出す問いを発し、学生自身が的確な日本語を組み立てていく過程の指導は知力と根気を要します。聞くと、なんどもなんどもWordのファイルをやり取りするそうです。
そこで提案。
論文指導を、Scrapboxでなさってみてはいかがでしょうか。ファイルのやりとり、必要なくなります。 2017年度、50名のゼミ生の論文をScrapboxで添削しました。Scrapboxだからできたと思います。時間と場所を問わず、リアルタイムに学生の論述にコメントを書ける。学生が書いた論述の中にshio.icon このようなコメントを書き込む方式。
shio.iconや他の学生たちからコメントを受けた学生は、そのページを「Duplicate this page」によって複製し、さらに全文をそのページに複製(コピペ)。つまり同じ内容がページの上下に2つある状態にします。そのあと、上半分の本文を修正しながらコメントを削除していきます。それを他の学生や教員がまたみる。
目の前で書いている論文を添削する場合も、学生が書いた文章が直接その場で教員の画面に表示されるから、口頭でコメントを伝えます。非常に効率的。学生が複数いれば、Scrapboxの「Stream」を開いておくだけで、全メンバーの執筆進捗がリアルタイムで見えるから、気になったところはその場で声をかけたりコメントできる。
こんな効率的な論文指導環境、初めて。
実際にその画面などをご覧いただきながら、先生方に手順をお伝えしたところ、これでやってみたいとのご意向。きっと実質的な指導が進むと思います。
卒論(学年論文)のような長文の場合は、目次ページを独立のページとし、各章毎に別ページとして書くのがよいと思います。1ページに何万字でもScrapboxのシステムとしては上限は(shio.iconの経験上)ありませんし動作が遅くなることもありませんが、長くなると上下二重に本文を置いた時など、上下のスクロール量か多くなって効率が落ちるので、1ページ1万字くらいを目安にページを分けた方が扱いやすいからです。
何かご質問があればご遠慮なくお寄せくださいませ。
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いただいたご質問に対するお答えを追記します。
/shio/himan.icon コメントのついたページを複製しかつ内容を下にコピーする、というのは修正後にコメントを再確認するためでしょうか。
shio.icon はい、学生同士も教員も大量に添削するので、どのような指摘に対してどう直したかを確認する場合に、以前の原稿のページに戻るより同じページでさっと確認できる方が簡便だからです。
/shio/himan.icon 最初にページを複製するのは、その後の作業をする際にうっかり文章を削除してしまうようなミスからの復帰ができるようにしておくためでしょうか?
shio.icon 確かにうっかり消してしまうリスク回避もありますが、学生たちがScrapboxに少し慣れたら消してしまう事故はまずありません。僕が考える消さない理由は3つあります。
1. 「書いたものは消さない」というポリシーです。手書きで起案するとき、僕の授業、期末試験、そしてゼミではすべての学生が消えないペン、万年筆で書きます。司法試験の論述も万年筆です。自分の言葉に責任を持つためです。ITで文章を書くときも同じ。特にSNSなどを使って気軽にwebで言葉を発せる現代において、「一旦発した言葉は消えない」という意識を基本姿勢として身につけるべきと考えます。
2. 書いたものは成長の足跡です。バージョンを残しておくと、あとで変化を辿れます。成長の幅が大きい方が本人も教員も喜ばしい。
3. 書き込まれているコメントは全員が読みます。次年度の後輩も読みます。特に教員たるshio.iconは、同じ内容の指摘は原則として1度しかしません。2人目以降の学生の論述に対しては原則として、指摘したい箇所にcontrol+iでshio.iconを打つだけでコメント内容は最小限しか書きませんので、その詳細について知りたい学生たちはそれ以前に他の学生に含まれる同様のイシューに対してshio.iconが書いたコメントを読む必要があります。コメントは論述のコンテクストがあってこそ意味をなしますから、元の論述がすべてそのまま読めるようになっていることが必要です。だから論述もコメントも消してはならないですし、各論述のバージョンをコメントを含めて遡って辿れることが大切です。
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